移管指針公開草案第15号(移管指針第9号の改正案)「金融商品会計に関する実務指針(案)」の公表 (2024年10月04日 企業会計基準委員会)

我が国においては、企業が投資する組合等への出資の評価に関して、当該組合等の構成資産が金融資産に該当する場合には企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」(以下「金融商品会計基準」。)に従って評価し、当該組合等への出資者である企業の会計処理の基礎とするとしています(移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」第132項)。この点、金融商品会計基準は、市場価格のない株式について取得原価をもって貸借対照表価額とする(金融商品会計基準第19項)としているため、企業が投資する組合等の構成資産が市場価格のない株式である場合、これらについても取得原価で評価することとなります。

  当該定めに関して、近年、ファンドに非上場株式を組み入れた金融商品が増加しており、これらの非上場株式を時価評価することによって、財務諸表の透明性が向上し、投資家に対して有用な情報が開示及び提供されることになり、その結果、国内外の機関投資家からより多くの成長資金がベンチャーキャピタルファンド等に供給されることが期待されるとして、ベンチャーキャピタルファンドに相当する組合等の構成資産である市場価格のない株式を時価評価するように会計基準を改正すべきとの要望がありました。

 こうした状況を受けて、企業会計基準諮問会議から提言がなされ、これを踏まえ、2023年12月に開催された第516回企業会計基準委員会において、ベンチャーキャピタルファンドに相当する組合等の構成資産である市場価格のない株式を中心とする範囲に限定し、上場企業等が保有するベンチャーキャピタルファンドの出資持分に係る会計上の取扱いの見直しを目的とした会計基準の開発が着手されました。

 2024年9月18日開催の第533回企業会計基準委員会において、移管指針公開草案第15号(移管指針第9号の改正案)「金融商品会計に関する実務指針(案)」(以下「本公開草案」。)の公表が承認されました。

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