アーク有限責任監査法人は、2017年3月31日に金融庁から公表された「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)を採用いたしました。つきまして、当社の対応状況を以下のように公表いたします。

原則01

監査法人が果たすべき役割

ガバナンスコード 原則1

監査法人は、会計監査を通じて企業の財務情報の信頼性を確保し、資本市場の参加者等の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与する公益的な役割を有している。これを果たすため、監査法人は、法人の構成員による自由闊達な議論と相互啓発を促し、その能力を十分に発揮させ、会計監査の品質を組織として持続的に向上させるべきである。

当社の対応

当社の目的は、公正で厳格な監査を適正な費用で提供することにより、企業の財務情報への信頼性の付与と安心できる社会の実現に向け、企業の長期的な成長と発展をサポートすることであります。日本経済の活性化に監査を通じて貢献することが、当社の社会的役割であると考えております。また、業務執行社員が補助者の意見を受け入れる風土を重視しており、業務執行社員が単独でクライアントとの打ち合わせを行い、会計処理等を決めてしまうことは禁止しています。さらに、会計監査の品質を持続的に向上させるために、独自の研修プログラムを作成しています。

ガバナンスコード 1-1

監査法人は、その公益的な役割を認識し、会計監査の品質の持続的な向上に向け、法人の社員が業務管理体制の整備にその責務を果たすとともに、トップ自ら及び法人の構成員がそれぞれの役割を主体的に果たすよう、トップの姿勢を明らかにすべきである。

当社の対応トップの姿勢

当社では、会計監査の品質の持続的な向上のために、理事長がその経営理念を社内の関係者に向けて伝達しており、その結果を受けて、社員及び職員がそれぞれの役割を主体的に果たしております。

ガバナンスコード 1-2

監査法人は、法人の構成員が共通に保持すべき価値観を示すとともに、それを実践するための考え方や行動の指針を明らかにすべきである。

当社の対応共通の価値観と行動指針

当社では、定期的に理事長からのアナウンスが全員になされ、当社が果たすべき社会的役割等について理事長の考え方が発信されております。
また、それを実践する考え方や行動指針に関してはスタッフマニュアルにおいて示されています。

ガバナンスコード 1-3

監査法人は、法人の構成員の士気を高め、職業的懐疑心や職業的専門家としての能力を十分に保持・発揮させるよう、適切な動機付けを行うべきである。

当社の対応専門的職員への動機付け

当社では、ワークライフバランスを達成するだけでなく、監査業務に対する士気の低下防止策を、対話を通じて実施しております。また、個別の監査業務においてもチームミーティングを通じて、常に職業的懐疑心や職業的専門家としての監査への取組みを保持し発揮できるようにしております。

ガバナンスコード 1-4

監査法人は、法人の構成員が、会計監査を巡る課題や知見、経験を共有し、積極的に議論を行う、開放的な組織文化・風土を醸成すべきである。

当社の対応開放的な組織文化・風土

当社は、監査業務に携わる監査チームのメンバーはその経験値に応じた業務を行っており、業務報告を通じて、会計事象に関する問題点の議論が自由に行える環境を整備するように社員に理事長からの指示がなされており、決して監査チームの上位者が判断を押し付けるようなことは決してないように指導がなされています。

ガバナンスコード 1-5

監査法人は、法人の業務における非監査業務(グループ内を含む。)の位置づけについての考え方に加えて、利益相反や独立性の懸念に対し、規模・特性等を踏まえて具体的にどのような姿勢で対応を講じているかを明らかにすべきである。
また、監査法人の構成員に兼業・副業を認めている場合には、人材の育成・確保に関する考え方も含めて、利益相反や独立性の懸念に対して、どのような対応を講じているか明らかにすべきである。

当社の対応非監査業務(グループ内含む。)の位置づけ

当社は、監査業務をはじめとした保証業務を主たる目的にしており、監査業務周辺の合意された手続業務(以下「AUP」という。)を除く、いわゆるコンサルティング業務については、積極的には実施しない方針であります。
しかしながら、構成員のコンサルティング能力の獲得要望もあることから、その機会がある場合には、監査業務に支障が生じない範囲において実施することとしております。
また、当社の構成員(非常勤者を含む。)が兼業・副業を希望する場合には、監査業務に支障がでないことを前提に個別事情やその状況など、利益相反や独立性に抵触しないことが確認できるように監査サポート部の品質管理グループを経由して理事長に申請されています。

ガバナンスコード 1-6

監査法人がグローバルネットワークに加盟している場合や、他の法人等との包括的な業務提携等を通じてグループ経営を行っている場合、監査法人は、グローバルネットワークやグループとの関係性や位置づけについて、どのような在り方を念頭に監査法人の運営を行っているのかを明らかにすべきである。

当社の対応グローバルネットワークやグループ法人との関係性

当社はKreston International に加盟していますが、グループ経営を行っている法人はありません。Kreston International からは人材育成プログラムの提供や最新ニュース等の提供を受けており、監査に関連する問題等に係る国際的な潮流の入手することを加盟の主たる目的としています。また、Kreston Internationalが提供している監査業務用のツールは、当社の独自性に鑑みて利用しない方針であります。

原則02

組織体制の強化

ガバナンスコード 原則2

監査法人は、会計監査の品質の持続的な向上に向けた法人全体の組織的な運営を実現するため、実効的に経営(マネジメント)機能を発揮すべきである。

当社の対応

一般事業会社の取締役会に相当する理事会が、経営の方向性並びに業務運営方針を決定する意思決定機関として、また、同時に執行機関として位置付けられ実行しております。ただし、ガバナンスの観点からも理事会だけで実行できる項目は限定されており、最終的な意思決定機関は社員会となっております。

ガバナンスコード 2-1

監査法人は、実効的な経営(マネジメント)機関を設け、組織的な運営が行われるようにすべきである。また、規模・特性等を踏まえて経営機関を設けないとした場合は、実効的な経営機能を確保すべきである。

当社の対応組織的な運営

当社では、理事会によってマネジメントが実践されていますが、各理事は監査業務担当理事・品質管理担当理事・業務開発担当理事・事務管理担当理事ほかのように担当業務を分けており、その全体を理事長が統括しています。また、経営を担う理事が、業務執行社員との意思疎通を図ることにより、個別の監査業務の執行を監視するという組織的な運営を実践しております。さらに、理事会の上位に位置する社員会が監事会とともに、理事会及び理事長の経営を監視するというガバナンス体制をとっています。

ガバナンスコード 2-2

監査法人は、会計監査に対する社会の期待に応え、組織的な運営を確保するため、以下の事項を含め、重要な業務運営における経営機関の役割を明らかにすべきである。

  • 監査品質に対する資本市場からの信頼に大きな影響を及ぼし得るような重要な事項について、監査法人としての適正な判断が確保されるための組織体制の整備及び当該体制を活用した主体的な関与
  • 監査上のリスクを把握し、これに適切に対応するための、経済環境等のマクロ的な観点を含む分析や、被監査会社との間での率直かつ深度ある意見交換を行う環境の整備
  • 法人の構成員の士気を高め、職業的専門家としての能力を保持・発揮させるための人材育成の環境や人事管理・評価等に係る体制の整備
  • 監査に関する業務の効率化及び企業においてもデジタル化を含めたテクノロジーが進化することを踏まえた深度ある監査を実現するためのIT基盤の実装化(積極的なテクノロジーの有効活用を含む。)に係る検討・整備

当社の対応重要な業務運営における経営機関の役割

当社では、会計監査に対する社会の期待に応え、組織的な運営を確保するため、以下の事項を含め、重要な業務運営方針を理事会で決定しております。その方針とその実践状況として以下のような事項を示すことができます。

  • 重要な事象に対する監査判断を誤ることがないような審査体制を構築しており、項目によって判断できる専門家への問合せを義務付けております。
  • クライアントとはその社会経済や経営環境のヒアリングを行い、共通の認識の下にリスクを特定して、監査上のリスクを明確にする監査手法を採用しております。
  • 当社の重要な財産は、当社に帰属する人材であります。そのため、人材の士気を高めるような監査品質に対する評価に重点を置いた人事評価制度を整備・運用しております。
  • 監査においては、ITの活用が不可欠であるという認識の下に、IT専門家も監査チームに組み込んでおり、IT専門家以外の監査チームのメンバーもITを利用した監査ツールに関しての研修を受けさせております。監査手続の一環としてCAATアプリケーションを使用したり、数値をグラフ化し異常点を可視化するための分析ツールとしてBIソフトウェアを利用したりしています。

ガバナンスコード 2-3

監査法人は、経営機能を果たす人員が監査実務に精通しているかを勘案するだけではなく、法人の組織的な運営のための機能が十分に確保されるよう、経営機能を果たす人員を選任すべきである。

当社の対応経営機関の構成員の選任

当社では、理事の選任は3年に1度の総社員による選挙によっております。理事の選任基準として法人運営の根幹を担うことができ、法人運営を任せられるかどうかという判断によるものとされており、理事として選挙によって選ばれた社員が代表社員となります。また、理事らが経営機能を十分に果たすことができるように、理事長及び品質管理担当理事は監査における業務執行社員を担っておりません。

原則03

経営機能の監督・評価

ガバナンスコード 原則3

監査法人は、監査法人の経営から独立した立場で経営機能の実効性を監督・評価し、それを通じて、経営の実効性の発揮を支援する機能を確保すべきである。

当社の対応

当社の規模は大監査法人と比較してかなり小さく、構成員の業務内容まで目が行き届いておりますが、理事会による運営が適切であるかどうかを判断してもらうために監事会を設定しております。なお、監事会のうち1名は、独立性を有する第三者を選任しております。

ガバナンスコード 3-1

監査法人は、経営機関等による経営機能の実効性を監督・評価し、それを通じて実効性の発揮を支援する機能を確保するため、監督・評価機関を設け、その役割を明らかにすべきである。また、規模・特性等を踏まえて監督・評価機関を設けないとした場合は、経営機能の実効性を監督・評価する機能や、それを通じて実効性の発揮を支援する機能を確保すべきである。

当社の対応監督・評価機関

当社は、理事長及び理事会による監査法人の運営を監督・評価するための機関として、上位組織で社員会がありますが、独自の監督・評価機関として監事会を設置しております。

ガバナンスコード 3-2

監査法人は、組織的な運営を確保し、公益的な役割を果たす観点から、自らが認識する課題等に対応するため、独立性を有する第三者の知見を活用すべきである。併せて、当該第三者に期待する役割や独立性に関する考え方を明らかにすべきである。

当社の対応独立性を有する第三者

当社は、当社の規模に鑑みて監事会の構成員に独立性を有する第三者を選任しております。
独立性を有する第三者としては、当社に利害関係がなく主たる職業を有し、かつ監査業界に詳しい方を前提としています。独立性を有する第三者には、次の項目に示すような役割を担ってもらっています。

ガバナンスコード 3-3

監査法人は、監督・評価機関の構成員又は独立性を有する第三者について、例えば以下の業務を行うことが期待されることに留意しつつ、その役割を明らかにすべきである。

  • 経営機能の実効性向上に資する助言・提言
  • 組織的な運営の実効性に関する評価への関与
  • 経営機能を果たす人員又は独立性を有する第三者の選退任、評価及び報酬の決定過程への関与
  • 法人の人材育成、人事管理・評価及び報酬に係る方針の策定への関与
  • 内部及び外部からの通報に関する方針や手続の整備状況や、伝えられた情報の検証及び活用状況の評価への関与
  • 被監査会社、株主その他の資本市場の参加者等との意見交換への関与

当社の対応独立性を有する第三者の役割

当社の理事長は、監事会より日常業務に関するヒアリングを受けることにより、下記の役割を担ってもらっています。

  • 理事会運営の実効性に関する評価
  • 理事長による社員の評価及び報酬の決定過程
  • 組織の規模に見合った理事会の構成人員と独立した第三者としての監事の選退任プロセスに対する意見
  • 法人の人材育成、人事管理・評価及び報酬に係る方針等に関する意見
  • 内部及び外部からの通報に関する方針や手続の整備状況や、伝えられた情報の検証及び活用状況の評価
  • 被監査会社、株主その他の資本市場の参加者等との意見交換方法に対する意見

ガバナンスコード 3-4

監査法人は、監督・評価機関等が、その機能を実効的に果たすことができるよう、監督・評価機関の構成員又は独立性を有する第三者に対し、適時かつ適切に必要な情報が提供され、業務遂行に当たっての補佐が行われる環境を整備すべきである。

当社の対応監事会に対する情報提供

当社では、監事会のうち1名が社員であるため、他の独立性を有する第三者である監事への情報提供は、監事会の中で実施されております。
また、独立性を有する第三者である監事が、理事会での協議内容を事前に十分に吟味できるように、理事会開催の一定期間前に理事会での協議資料を送付しております。

原則04

業務体制の整備

ガバナンスコード 原則4

監査法人は、規模・特性等を踏まえ、組織的な運営を実効的に行うための業務体制を整備すべきである。また、人材の育成・確保を強化し、法人内及び被監査会社等との間において会計監査の品質の向上に向けた意見交換や議論を積極的に行うべきである。

当社の対応

当社では、当社の規模に見合った組織的な運営を実効的に行うために、理事間での意思疎通だけでなく、各監査業務を執行している業務執行社員との意思疎通を積極的に行うようにしております。また、当社の重要な財産である人材には、積極的に投資するという経営方針であります。

ガバナンスコード 4-1

監査法人は、経営機関等が監査の現場からの必要な情報等を適時に共有するとともに経営機関等の考え方を監査の現場まで浸透させる体制を整備し、業務運営に活用すべきである。また、法人内において会計監査の品質の向上に向けた意見交換や議論を積極的に行うべきである。

当社の対応会計監査の品質向上に向けた意見交換

当社では、重要な監査上の問題点等については、理事会で品質管理担当理事から報告を受け、理事会で検討した結果等をすべての業務執行社員に社員会等を通じ伝達することにより、共通認識として浸透させております。また、個別の監査業務に関する質問等は、品質管理担当理事が窓口となって、専門的な見解の問合せを実施し、意見交換を行うこととしております。

ガバナンスコード 4-2

監査法人は、法人の構成員の士気を高め、職業的専門家としての能力を保持・発揮させるために、法人における人材育成、人事管理・評価及び報酬に係る方針を策定し、運用すべきである。その際には、法人の構成員が職業的懐疑心を適正に発揮したかが十分に評価されるべきである。

当社の対応法人における人材育成、人事管理・評価及び報酬に係る方針

当社では、個別の監査チーム構成では偏りがないようなチーム編成を求めており、人事評価は業務を共に実施した複数の上位者によって考課が行われています。人事考課に当たっては、各ポジションにあった評価項目が設けられており、適切な組織的監査を実施した者が評価されるものとなっております。

ガバナンスコード 4-3

監査法人は、併せて以下の点に留意すべきである。

  • 法人のそれぞれの部署において、職業的懐疑心を適切に発揮できるよう、幅広い知見や経験につき、バランスのとれた法人の構成員の配置が行われること
  • 法人の構成員に対し、例えば、非監査業務の経験や事業会社等への出向などを含め、会計監査に関連する幅広い知見や経験を獲得する機会が与えられること
  • 法人の構成員の会計監査に関連する幅広い知見や経験を、適正に評価し、計画的に活用すること
  • 法人の構成員が業務と並行して十分に能力開発に取り組むことができる環境を整備すること

当社の対応人材育成の方針

当社では、経験値の高い人材から低い人材までをバランスよく監査チーム編成することを心がけており、OJTを通じた監査に必要な懐疑心の発揮ができるような人材育成を行っております。当社ではAUP業務や海外の提携先からの委託業務などの通常の監査業務とは異なった業務の経験は極力経験させるように心がけておりますが、監査に関連する団体以外の事業会社への出向は考えておりません。構成員の過去の経験等は、組織運営委員会によって本人の希望も考慮しながら、計画的に活用することとしています。また、テレワークやスライドワークの活用、さらにはMicrosoft365により円滑な連絡及び情報伝達やWeb会議を通じて効率的に業務を実施することにより、監査に限らない自己能力開発に取り組むことができる環境作りを行っているだけでなく、外部の研修機関と契約し、あらゆる分野の研修を受講できるようになっています。

ガバナンスコード 4-4

監査法人は、被監査会社のCEO・CFO 等の経営陣幹部及び監査役等との間で監査上のリスク等について率直かつ深度ある意見交換を尽くすとともに、監査の現場における被監査会社との間での十分な意見交換や議論に留意すべきである。

当社の対応被監査会社との間での十分な意見交換や議論

すべての被監査会社のCEO・CFO等の経営陣幹部及び監査役等との間で、監査上のリスク等に関するコミュニケーションをとり、適切な監査リスクを特定して、十分な意見交換をすることが、当社の監査方針であります。

ガバナンスコード 4-5

監査法人は、内部及び外部からの通報に関する方針や手続を整備するとともにこれを公表し、伝えられた情報を適切に活用すべきである。その際、通報者が、不利益を被る危険を懸念することがないよう留意すべきである。

当社の対応内部及び外部からの通報

当社では、通報制度が整備されており、ホームページに記載の法律事務所に匿名で伝達ができるようになっております。
法律事務所では、通報者が不利な取扱いを受けないように保護されることとなっております。

原則05

透明性の確保

ガバナンスコード 原則5

監査法人は、本原則の適用状況などについて、資本市場の参加者等が適切に評価できるよう、十分な透明性を確保すべきである。また、組織的な運営の改善に向け、法人の取組みに対する内外の評価を活用すべきである。

当社の対応

当社は、ガバナンス・コードの適用状況についてはホームページで開示することにより、資本市場参加者等が適切に評価することができ、当社に対しての問合せも可能であることから、外部者から評価されることも可能な体制が整えられています。

ガバナンスコード 5-1

監査法人は、被監査会社、株主、その他の資本市場の参加者等が評価できるよう、本原則の適用の状況や、会計監査の品質の向上に向けた取組みについて、一般に閲覧可能な文書等で、わかりやすく説明すべきである。

当社の対応会計監査の品質向上に向けた取組みについての閲覧体制

ホームページにおいて、その取組状況等につき開示しております。

ガバナンスコード 5-2

監査法人は、品質管理、ガバナンス、IT・デジタル、人材、財務、国際対応の観点から、規模・特性等を踏まえ、以下の項目について説明すべきである。

  • 会計監査の品質の持続的な向上に向けた、自ら及び法人の構成員がそれぞれの役割を主体的に果たすためのトップの姿勢
  • 法人の構成員が共通に保持すべき価値観及びそれを実践するための考え方や行動の指針
  • 監査法人の中長期的に目指す姿や、その方向性を示す監査品質の指標(AQI:Audit Quality Indicator)又は会計監査の品質の向上に向けた取組みに関する資本市場の参加者等による評価に資する情報
  • 監査法人における品質管理システムの状況
  • 経営機関等の構成や役割
  • 監督・評価機関等の構成や役割。独立性を有する第三者の選任理由、役割、貢献及び独立性に関する考え方
  • 法人の業務における非監査業務(グループ内を含む。)の位置づけについての考え方、利益相反や独立性の懸念への対応
  • 監査に関する業務の効率化及び企業におけるテクノロジーの進化を踏まえた深度ある監査を実現するためのIT基盤の実装化に向けた対応状況(積極的なテクノロジーの有効活用、不正発見、サイバーセキュリティ対策を含む。)
  • 規模・特性等を踏まえた多様かつ必要な法人の構成員の確保状況や、研修・教育も含めた人材教育方針
  • 特定の被監査会社からの報酬に左右されない財務基盤が確保されている状況
  • 海外子会社等を有する被監査会社の監査への対応状況
  • 監督・評価機関等を含め、監査法人が行った、監査品質の向上に向けた取組みの実効性の評価

当社の対応運営方針

当社の規模及び特性等を踏まえた運営方針としては、以下のようなものがあります。

  • 会計監査の品質の持続的な向上に向けて、理事長が経営理念を社内外に向けて公表しております。社外においてはホームページにおいて公表している「監査品質に関する報告書」を通じて、社内においては定期的に理事長より発信される全構成員に対するメッセージを通じて実施しております。
  • そこでは、社内のメンバーが共通に保持すべき価値観及びそれを実践するための考え方や行動の指針がスタッフマニュアルにより示されています。
  • 当社は、ホームページで開示している「監査品質に関する報告書」でKPIとして8項目のAQIを示しております。
  • 当社の品質管理システムは、社会的影響に鑑みて監査業務の品質を重視しており、品質管理に関する方針及び手続に関して、理事長が最終的な責任を負っています。また、品質管理のシステムに関する整備及び運用に関する責任は、監査サポート部長(品質管理担当理事)が負っています。監査契約の新規の締結及び更新から監査計画の策定、監査の実施及び監査報告書の発行に至る品質管理の方針及び手続を諸規程として整備し、運用しており、特に専門要員の教育訓練においては、監査品質に関する報告書に記載のとおり、ランク別に組織的に計画的に実施しております。
  • 当社の唯一の経営機関は理事会であります。主要な決定事項は理事会の権限であり、理事長は理事会の下において監査法人経営を行っております。理事会の構成員である理事は総社員による選挙により選出されており、品質管理担当・監査ツール担当・研修担当・国際担当・採用担当・業務開発担当・受嘱審議担当・事務管理担当・衛生担当の各理事がそれぞれの役割を担っております。
  • 監督・評価機関や独立性を有する第三者の選任は、社員会の承認の下に監事会が実施しております。第三者は監査業界について理解されている有資格者の学者であることから経営機関等の評価には適任であるという考え方から選任されており、積極的にガバナンスに関する意見をいただいております。また、独立性に関しては、過去において当社のクライアントには一切関係していなかった方であり、かつ、当社の経営に対して利害関係のない方でなければならないと考えております。
  • 当社では、その業務の大半が法定監査業務によって占められており、非監査業務としては、そのほとんどがAUP業務であります。しかしながら、コンサルティング業務にも携わってみたい公認会計士も多く存在していることから、まったく行わない方針は採用せずに、必要があれば利害関係のない範囲では許容するというスタンスであります。業務契約に至る過程では監査サポート部の品質管理グループにより利益相反や独立性の確認がなされます。
  • 監査手続の一環として、CAATアプリケーション(ACL Analytics)を利用し、大量データの分析(仕訳データ分析、滞留債権及び在庫評価損の網羅性検証等)を行っています。また、リスク評価手続において、数値をグラフ化し異常点を可視化するための分析ツールとして、BIソフトウェア(Microsoft Office製品)を利用しています。また、東京オフィス及び地方オフィスのネットワーク内に統合脅威管理(UTM)アプライアンスを設置し、コンピュータウイルスや不正アクセス等の脅威から社内ネットワークを効率的かつ包括的に保護する対策を実施しています。クラウド環境にも統合脅威管理(UTM)アプライアンスを設置し、外部からの不正アクセス等の脅威からデータを保護しています。
    専門要員が利用するノートPC及び仮想PC並びに東京オフィス設置のファイルサーバ、クラウド環境のファイルサーバには、ウイルス対策ソフトウェアをインストールし、ウイルス対策、不正アクセス対策を実施しています(週次でウイルス及び不正アクセス検索を実施し、日次で定義ファイルを更新しています。)。
    利用する電子メールサービスでは、迷惑メール、スパムメール遮断だけでなく、クラウド型サンドボックス(ウイルス振る舞い検知)サービスも利用し、ビジネス詐欺メール及びランサムウェア等の未知の不正プログラムの検知、隔離、排除まで行う対策を実施しています。
    専門要員に対して、標的型攻撃を想定したメールを送信し、開いてしまった対象者への研修を行うことで、セキュリティ意識の向上を図る訓練を年2回の頻度で実施しています。また、2021年10月に金融庁主催の「令和3年度 金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅵ)」に参加しています。
  • 法人研修の実績及び専門要員からの法人研修に対する要望を考慮し、研修方針を策定しています。方針策定に際して、重視したものの一つは、「監査品質の向上を図る研修の充実」です。公認会計士・監査審査会検査及び日本公認会計士協会の品質管理レビューでの不備の指摘を受け、監査品質の維持・向上が当社にとって課題であると再認識したため、監査基準報告書の理解を深める研修をはじめとした監査品質に直結する研修を充実させることとしています。なお、監査品質の維持・向上のためには、現行の監査の基準が求める水準を理解することが必要であるため、日本公認会計士協会に品質管理レビューアーとして継続的に出向者を出し、そこで得た知見を当社の監査業務に生かしていく方針です。
    また、重視したもう一つとしては、「ランク別研修の充実」です。年間を通した法人内研修により、ランクに応じた専門要員の監査実務の実践能力を可能な限り高めることにより、各監査チームの現場力を高い水準に維持・向上することを法人研修の方針としています。
  • 当社の業務収入のうち、最も報酬額の大きいクライアントが占める割合は15%未満であり、依存度は低く抑えられています。
  • 海外子会社等を有する被監査会社の監査への対応としては、グループ監査に関するツールを整備し、単純に監査指示書のみに依存するのではなく、実際に海外子会社の監査人とディスカッションや監査調書のレビュー若しくはヒアリングを必要がある場合には実施しています。
  • 当社は監査品質の向上に向けて、理事長の自己評価に加え、外部の第三者の意見を踏まえており、実効性のあるものとして取り組んでいると評価されております。

ガバナンスコード 5-3

グローバルネットワークに加盟している監査法人や、他の法人等との包括的な業務提携等を通じてグループ経営を行っている監査法人は、以下の項目について説明すべきである。

  • グローバルネットワークやグループの概略及びその組織構造並びにグローバルネットワークやグループの意思決定への監査法人の参画状況
  • グローバルネットワークへの加盟やグループ経営を行う意義や目的
    (会計監査の品質の確保やその持続的向上に及ぼす利点やリスクの概略を含む。)
  • 会計監査の品質の確保やその持続的向上に関し、グローバルネットワークやグループとの関係から生じるリスクを軽減するための対応措置とその評価
  • 会計監査の品質の確保やその持続的向上に重要な影響を及ぼすグローバルネットワークやグループとの契約等の概要

当社の対応グローバルネットワーク加盟とグループ経営

当社はKreston Internationalに加盟しておりますが、グループ経営を行っている組織体はありません。
以下においてKreston Internationalに関する状況を説明します。

  • Kreston Internationalの概略は当社のホームページ(https://www.ark-audit.com/network/)において記載されたとおりであり、ネットワークの意思決定には、毎年、リモートにより年次総会に参画しています。
  • Kreston Internationalへの加盟の主たる目的は、当社に見合った国際的会計監査環境の変化に対する情報収集であり、もって当社の持続的向上に資するものであります。一般的にグローバルネットワークへの加入は、監査手法等の使用が強制されるというリスクや経営方針への介入などのリスクがありますが、Kreston Internationalではそのようなリスクはありません。しかし、Kreston Internationalが適切な伝達ができている保証はないというリスクは考えられます。
  • 会計監査の品質の確保やその持続的向上において、Kreston Internationalに加盟している現状において、十分に監査環境の変化が認識されない可能性もあるため、日本公認会計士協会の情報発信には十分注意してそのリスクを軽減しており、十分な措置であると考えております。
  • 会計監査の品質の確保やその持続的向上に重要な影響を及ぼすようなKreston Internationalとの契約はありません。

ガバナンスコード 5-4

監査法人は、会計監査の品質の向上に向けた取組みなどについて、被監査会社、株主、その他の資本市場の参加者等との積極的な意見交換に努めるべきである。その際、監督・評価機関の構成員又は独立性を有する第三者の知見を活用すべきである。

当社の対応積極的な意見交換

当社では、理事長をはじめとする理事全員の持っている事業会社の人脈の範囲内で、監査法人経営に関する意見交換を行っているだけではなく、証券会社5社及び信託銀行1行に対して当社の監査品質に関する報告書を持参して意見を求めております。その結果は理事会において監事出席の下に報告がなされております。

ガバナンスコード 5-5

監査法人は、本原則の適用の状況や監査品質の向上に向けた取組みの実効性を定期的に評価すべきである。

当社の対応監査品質の向上に向けた取組みの実効性を確保

当社では、当社の取組状況の実効性を毎年度末に理事長自ら評価し、監事会の意見を取り入れて、理事会により最終評価するようにしています。

ガバナンスコード 5-6

監査法人は、資本市場の参加者等との意見交換から得た有益な情報や、本原則の適用の状況などの評価の結果を、組織的な運営の改善に向け活用すべきである。

当社の対応組織的な運営改善

ホームページ等を通じて得られた意見については、理事会で公表し、自己評価の結果、改善が必要と認められる事項については改善計画を立案し、当社の取組状況を変更することとしています。